症例研究
性交による腟壁損傷の1例
肥後 晃
pp.457-458
発行日 1955年3月10日
Published Date 1955/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201171
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1.諸言
婦人が始めての性交により,処女膜其他に多少の損傷を受けても何ら医療を要しないが,その損傷が高度で医療を要する場合は非生理的であり,又性交に慣れた婦人,我は経産婦にも屡々高度の損傷が起る事がある。性交損傷に関しては,Pla-zonous (1644)の報告に始まり,Neugebauer (1889)の150例の総括,7例の治験の詳細な記載は,本症に関する総説的記述の嚆矢であり,更にWenzkowsky (1932)はNeugebauer以後の212例の総括,53例の治験例を報告し,其他多数の学者により優に400例を越えている。本邦では大正9年荻野,星の報告に始り,大塚(大正10年)の総括的記述,矢内原(昭和10年)の32例の総括,1例の治験例の報告以来現在約70例に過ぎず,西欧のそれに比較して少数と云わねばならぬ。余は最近その1例を経験したので報告する。
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