症例
腟壁平滑筋肉腫の1例
綾部 琢哉
1
,
相良 洋子
1
,
関 博之
1
,
上妻 志郎
1
,
武谷 雄二
1
,
南澤 豊
1
,
菅生 元康
1
,
羽田 悟
2
Takuya Ayabe
1
,
Satoru Hada
2
1長野赤十字病院産婦人科
2長野赤十字病院病理部
pp.669-672
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207044
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症例は58歳3回経産婦。性器出血を主訴として来院し後腟壁腫瘍を発見された。腫瘍は単発性,腟・直腸粘膜間にあり卵型で鵞卵大,腟入口部より5mmの部位から隆起し腟腔内に突出,子宮との連絡はなく,表面平滑で潰瘍形成はみられなかった。生検にて平滑筋肉腫が疑われ,腫瘍摘出術,並びに腹式子宮・両側附属器摘出術を施行した。リンパ節腫脹なし。腫瘍は平滑筋細胞から成り,有糸分裂像が強拡大10視野あたり平均10個程度認められたため,平滑筋肉腫と診断された。術後腟腔内ラジウム照射施行し経過順調,現在まで局所再発,遠隔転移の徴候は認められていない。
腟壁に原発する悪性腫瘍中,腟肉腫は1〜3%を占め,成人腟肉腫の中では平滑筋肉腫が最も多い。その診断は組織学的検索によらねばならない。可能な限り摘出手術が必要であるが,後療法に関しては確定された意見はない。
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