原著
妊娠子宮下部筋束の走向
中村 肆郎
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.12-23
発行日 1955年1月10日
Published Date 1955/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201138
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緒言
日本産科婦人科学会第2回総会に於ける人工妊娠中絶方法に関する共同研究宿題報告に際し,本学尾島は,妊娠4ヵ月以後に於ける観血的切開中絶方法として,安藤—Fuchs氏子宮下部横切開術に手術実施成績を報告し,同法を紹介推奨した。該術式の特徴は従来の所謂腟式帝王切開術が,子宮頸部を外子宮口に連続して縦切開するに反し,外子宮口に関係なく子宮下部を横切開するにある。この特殊なる方式の解剖的意義を明かにする目的で,私は妊娠中期に於ける子宮につき,同術式の子宮切開部位たる子宮下部前壁の筋構造について研究を企てた。
子宮下部の構造に関しては,僅かにH.Stieve(1927)の記述があるが,筋層及び筋束の走向に関してはふれることは少い。子宮全体の筋構造に関する文献は次の如く要約せられる。
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