原著
月經周期並に妊娠成立に伴う尿表面活性の性格に就いて
高橋 央吉
1
1東京医科歯科大学生化学教室
pp.689-694
発行日 1954年12月10日
Published Date 1954/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201125
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I 緒言
尿の表面張力が種々の因子の影響をうけることは,一般に諸家の認めるところであるが,その性周期との関係に就いても,既に小田1)等は,密接な関係があること,殊に排卵期附近に比表面張力の異常に減少する日のあることを認め,発表している。
先に著者は,尿表面活性の研究に於て,尿中活性質量の濃淡度を表わす数値と考えられる梶原2)の所謂tanα,及び尿中表面活性質の化学的性質に従属する数値と考えられる高橋の所謂最大酸滷比3)NA2/NB8を検討し,之等の数値が健常尿に於て一定の恒常値を示すにも拘らず,妊娠尿4)に於てはその月齢とともにtanαの増大,最大酸滷比の減少を認め,又黄疸尿5)に於ては,tanαの更に極めて著明な増大,最大酸滷比の著明な減少を認め報告した。
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