抄録
小陰唇に出来た類上皮嚢腫の1例,他
清水
Von Jochim Erbsloh
pp.179-182
発行日 1954年3月10日
Published Date 1954/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201009
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大陰唇に於ける類上皮嚢腫は屡々みられるものであるが,小陰唇に於けるものは極めて稀である。臨床的には僅かの興味しかなく,茲には主として発生学的立場から興味あるものとして報告を行つている。
患者は48歳,既婚,2回経産試,験掻爬による子宮出血の為,入院した事がある。この腫瘍の出来た最初は,大した障碍は訴えなかつたが,最後の分娩の後に,腫瘍は徐々に成長して来た。即ち,左小陰唇の前方に,鷄卵大,茄子状の全面上皮で蔽われた腫瘍があり,それが小陰唇を外へ引張り,短い柄を以てこれにくつついている。手術的除去の際に,この柄は腫瘍の内容とか,壁とは少しも関係のない事が解った。組織像ではwandは数多くの彈力纎維をもつた脂肪に富んだ組織から成立ち,そこには豐富に血管が分布していた。内部を張つていた上皮は、一層性であり,kubischなものからzylindelZellenに至る迄を含んでいた。内容は灰色であり,軟いMasseが充満し,角化した或部分は有核の,又或部分は無核の上皮細胞から成立つていた。ところでこのものがEpithelzysteであるか,又Epidermoidzysteであるかが問題である。Zyste内容と,組織所見から云うなれば,これはSchleimzysteでもなく,又Lymphzysteでもなく,Atheromでもないと考えられる。
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