症例研究
子宮頸部筋腫を伴い続発的癌腫変性を起した良性卵巣嚢腫の1例
山本 弘
1
1鳥取大学医学部産婦人科教室
pp.161-163
発行日 1954年3月10日
Published Date 1954/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201003
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緒言
卵巣癌は比較的稀な疾患で,諸家の統計では生殖器癌腫の7.0乃至9〜8%(Schottlander u.Ke-rmauner)を占め,全卵集腫瘍の10.7%(Pfl-aum)乃至28%(Ravano),13.5%(Schmidle-chner),11.27%(Lippert),25.9%(Ekler),等で平均19.0%に相当している。又全卵巣嚢腫に対しては,その比は5.5:1(Pfannenstiel)であるという。卵巣に於ける癌腫の発生に関しては1)特発癌,2)転移癌,3)良性腫瘍の癌腫変性の3種をみる。A. Mayerの統計に依ればこれらは次の様な頻度に分けられる。原発癌52.2%。転移癌6.6%。癌変性の漿液嚢腫29.2%。癌変性の僞「ムチン」嚢腫8.4%。癌変性の皮様嚢腫3.6%。
私は昭和26年に中等大の僞「ムチン」卵巣嚢腫が2次的に癌腫に陥つた1例を経験したので報告する。
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