特集 産婦人科診療の進歩
胎兒赤芽細胞症に就て
飯山 一郞
1
1東京大學醫學部産科婦人科學教室
pp.751-755
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200934
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I.成因
胎兒赤芽細胞症とは胎兒體内に於ける異常な溶血が原因となつて起る汎發水腫,重症黄疸,重症貧血等一聯の疾患に對する總稱である。
この溶血の原因として血液型,特に1940年La-ndsteier&Wienerにより發見されたRh式血液型の關係が重要視されている。即ちRh式血液型に關し夫妻が不適合であるとき,いいかえれば夫がRh (+),妻がRh (−)のときは胎兒も多くはRh (+)となり,そのRh凝集原が胎盤循環を通じ母體に移行して抗原として作用し,所謂同種免疫が行われる結果,母血清中に比Rh抗體が産生され,これが再び胎盤を通じて兒に移行することにより,胎兒循環内で溶血或は血球凝集反應が起り,その結果上記疾病が惹起されるものと解せられている。この三種の疾病は上記抗原抗體反應による溶血という點では同一疾患であるので,近頃ては赤芽細胞症と云う代りに新生兒溶血性疾患hemolitic diseases of newbornsと呼ばれるよらになつて來た。
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