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醫療社會事業と精神身體醫學
深津 要
1
1国立八事療養所醫務課
pp.11-15
発行日 1953年1月1日
Published Date 1953/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200582
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最近醫療社會事業を擔任する者の業務や或いは又その推進に當る具體策等について相當系統づけて考究されている傾向が認められるのは大變喜ばしいものである。そして此頃の本誌に於てみる樣に,その業務を擔當する者が精神身體醫學を理解しておる可きだと言う提唱は極めて意義深いものがある。一般にまだ充分なる考察がこうした面についてはなされていない樣である。よほど大きな病院か何かでなければ,所謂練達の士が醫療社會事業のみを專任として受持つと云う事は少い樣な傾向が認められる。そして大低は相當の老年者等に比較的輕い業務分擔の一つとして與えられると云う場合が多いようである。從つて單なる目前の事象の解決策のみに腐心するのが殆んどで,精神身體醫學などと云う事を理解するだけの餘裕と積極性は多くの場合皆無に近い樣な點がみられる。しかし是は必らずしもその擔當者を責めるのではなく,この精神身體醫學そのものが強調されたのが最近である爲である。又醫者の中に於てさえも斯うした面について果してどれ丈の人が充分な認識を持つているだろうかと考えさせられる事がしばしばある。米國の醫者により叫ばれたのであるのに,若い教育を受けた醫者のうちでさえ此事について却つて蔑視する樣な感じを受ける事がある。從つて醫療社會事業家にとつてこの精神身體醫學的な素養が必要な事は明白であるが,丁寧な解説や教導を受ける事は餘りない樣であるのは殘念なことである。
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