原著
デヴィス氏癌反應の價値
船橋 守
1
1小松島赤十字病院産婦人科
pp.221-222
発行日 1953年4月10日
Published Date 1953/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200815
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緒言
癌早期診斷のために資せんとする研究,業蹟は幾多先輩諸家により努力が費されているが,可能なものはなく最近細胞學的検査が行われる様になつてから,早期診斷も或程度可能になつて來た様に思われる。
而して癌の發生は潜行性であつて,臨床上癌症状の現われるまでには相當の期間を經過している事が多い。従つてその早期診斷價値は重大なものであるが,殊に治療後に於ては再發個所の多くは厚い瘢痕組織に包まれていて,試驗切除でも組織の補促が困難であるため,再發の早期發現は更に困難と云わねばならない。亦癌腫發生は全身變化と重要な關係があり,之が代謝毒物は周圍組織は勿論,全身の新陳代謝状態を障碍して惡液質となる事は周知のことで,従つて癌腫診斷も亦之を局所診斷と全身(一般)診斷とに區別する事が出來る。現今癌一般診斷法に於ける血液の形態化學,免疫,酵素現象の諸變化を證明する血清學的診斷法は幾多の方法があるが,尿によるデヴィス氏反應はその操作極めて簡單にして,容易に入手し得るため,臨床上容易な癌一般診斷法と云える。少數例ではあるが,私は之を追試してみたので茲にその成績を簡單に報告したいと思う。
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