原著
硫酸銅比色法に依る血漿蛋白質濃度—特に肺結核妊婦のA/G比に就て
杉本 高嶺
1
1大阪市立醫科大學産婦人科教室
pp.211-218
発行日 1953年4月10日
Published Date 1953/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200814
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緒言
血漿蛋白質を測定し,其の變化を正しく観察する事は臨床上大いに意義のある事であるが,我々臨床家が患者診察に追われながら,比較的正しく而も簡單に,血漿蛋白質を測定する事は仲々困難で,先ず血漿蛋白濃度で大體の見當をつけるのが手取り早いのではなかろうかと思われる。而して之の蛋白濃度にして見ても,重量法,キエルダール法,屈折率法,比重測定法,比色法,比濁法と種々あるが,それぞれ一長一短があつて,おいそれとは測定する事は難しい様である。物理學的方法たる屈折率法,比重測定法は簡便迅速であるが誤差多く,化學的方法に依る重量分析法,キエルダール法は正確なるも餘り複雑過ぎる。然し幸い比色法が改良され,其れに伴う缺點が除かれるに従い誤差も少くなつて來て居る。之の比色法は以前から蛋白質中に含まれるチロジンがフエノールとしてFolinのフエノール試藥と反應し,呈色反應を呈する事を利用し,蛋白質の比色定量法が出來たので更に最近は蛋白質のビユレツト反應が蛋白質の定量に利用されて居る。現在多く用いられて居る比色法には1)キエルダール法に従つて酸化し,蛋白質窒素をアンモニアとしそれをニスレル試藥を用いて發色度を比色するもの2)蛋白質中のチロジンのフエノール試藥に對する呈色反應を利用したもの3)蛋白質のビユレツト反應を利用する方法等がある。
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