原著
更年期障碍樣症候群を有する婦人の腟内容のグリコーゲン檢査
中村 惠美子
1
1福島医科大学産科婦人科学教室
pp.26-28
発行日 1953年1月10日
Published Date 1953/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200772
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I.はしがき
頭痛,肩凝り,熱感等の更年期障碍様症候群が更年期婦人又は去勢婦人に見られることから卵巣機能の低下がその主因であると考えられて来た。然し卵胞ホルモンを投与するも該症状が消失せぬ例も屡々経験する所である。この事は本症の本態が必ずしも卵巣機能の低下によるものではない事を物語るものと思う。之を実証するには血中の卵胞ホルモンを定量すればよいわけであるが,微量卵胞ホルモン量の測定は2,3行われているが,正確な測定は必ずしも簡單ではない。然るにHe—rnberger u.Horstmann1),石川2),眞柄及び鈴木3),長尾)等によつて腟上皮細胞のグリコーゲン量は卵胞ホルモンの存在する状態に於て著明な増加を来たす事が明らかにされた。即ち腟上皮細胞のグリコーゲンを染色することにより体内の卵胞ホルモンの状態を或る程度知る事が可能であるという。私はこの方法に依り,更年期障碍樣症候群を有する婦人の卵胞ホルモンの状態を観察し,いささか興味ある結果を得たのでここに報告する。
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