原著
新産兒のエルモノグラムに就いて
武藤 友美
1
1京都府立醫科大學産婦人科教室
pp.699-704
発行日 1952年12月10日
Published Date 1952/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200755
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1 まえがき
新産兒に於ける血液像の變化は,周知の如くSchilling6)の所謂分娩血液像から比較的安定した乳兒血液像への移行期であつて,其の變動は赤血球系,白血球系共に顯著であるが,從來の樣な總白血球數と各種白血球の百分率による白血球像の表し方では,Schilling,6)佐藤彰4),尾河氏7)等も唱うる如く各種白血球の變動に關し,往々にして重大な錯誤を來す場合があり,新産兒期に於ける百分率による好中球の著明な減少と淋巴球の著明な増加の如きも,一見兩者いずれの影響の爲であるか,判斷するこにが出來ない。随つて同氏等は之を各白血球の絶對數からみて,一定容積内の各種白血球の消長を論じ,新産兒期に於ける白血球の著明な消長の主體をなすものは好中球の消長に他ならぬと説明している。
然し乍ら,新産兒に於ける末梢血液像に現れた各種白血球の絶對數値は一定容積内の各種白血球の外界刺戟に對する反應壯態即ち新産兒造血臟器に於ける各白血球動員状態を示しているのであつて,其の變動を容易に窺知する爲には一定の基準を示す必要がある。
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