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新産兒痙攣に就て—附 頭蓋内出血の1例
川鰭 芳文
1
1京都府立醫科大學産科婦人科教室
pp.370-374
発行日 1949年9月10日
Published Date 1949/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200258
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1.緒言
新産児に於て,認められる痙攣の原因として考えられるものは種々ある.共の内最も屡々見られるものは,所謂症状性痙攣である.之は分娩時損傷により惹起される.頭蓋内血の際に認められるのが普通である.續いて,脳水腫,腦膜炎の場合が多い.又破傷風,敗血症に際しても認められる.然も假性破傷風と稱し何等の明瞭なる感染なくて,頭蓋内出血と誤診される如き症状を呈し痙攣を惹起する場合がある.更に新産見子癇,共他種々の熱性病の場合にも,新産児に痙攣を惹起する事がある.又新産兒梅毒の際に,腦膜に梅毒性變化が波及し,腦膜炎樣の症状を發現し痙攣を惹起する場合もある.更に早産兒且體重の少い薄弱兒に,過温により痙攣發現を認めた例もある.所が最近頭蓋内出血により,極めて著明なる新産兒痙攣を惹起せる1例に遭遇し且剖檢により,頭蓋内出血の詳細を知る事を得たので,此處に共症例と共に,新産兒頭蓋内出血に就き,共概要を記す.
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