原著
人子宮頸管内膜の周期性變化(4)
原田 輝武
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.180-184
発行日 1951年5月10日
Published Date 1951/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200480
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
第6節 去勢婦人子宮頸管内膜に與える女性ホルモンの影響 卵巣嚢踵の癌性變性のため卵巣摘出,次いでレントゲン深部治療を實施し,去勢された23歳の處女についてオバホルモン,並にオオホルミン・ルテウム注射を行い,頸管粘液分泌状況を研究した事は既に第1編に於て述べたが,この婦人について頸管内膜も同時に檢査した。即ち,オバホルモン・ベンツアート(エストロン・ベンツアート)1日2萬單位隔日注射5回目の時と,オバホルモン・ベンツアート注射中止後直ちにオオホルミン・ルテウム(プロゲステロン)1日2國際單位隔日注射3回目の時とに夫々頸管内膜標本を採取した。オバホルモン注射後は明らかに腺上皮細胞肥大腫脹を示し,核は基底に壓迫され,細胞内に粘液瀦溜し,月經中間期初期頃に當る像が見られ,これに反し,オオホルミン・ルテウム注射後は上皮細胞全く萎縮に陥り,細胞は細く痩せ核は濃縮核樣乃至一部には核破壊の像も見られ,核の位置はまちまちで,或いは基底にあるもの,或いは中間位にあるもの甚しきは遊離縁より脱落しつゝあるものも見られ,染色性も一樣でなく濃淡あり,その像は月經前期の退行性變化著明なるものよりもさらに一層激しい樣相を呈する。(第9,10圖參照)
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.