原著
胎兒赤芽細胞症とAB因子
膳所 美光
1
1九州大學醫學部産婦人科教室
pp.45-49
発行日 1951年2月10日
Published Date 1951/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200438
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緒言
1940年Landsteiner and WienerがRh式血液型を發見して以來,胎兒赤芽細胞症の成因が明かにされ,その90%がRh因子にあることは改めて説明する迄もなく多數の交献より認められるところであるが,その成因説より考察すれば,Rh因子のみならず,他の血液型因子に依つても起り得ることは明白で,事實AB因子,Hr因子等に依り起つた例が時折報告されている。勿論これらは稀であるが一般にRh因子の方にのみ魅せられて,AB因子等に依る場合には氣付かないようで,Wieuer,Wexler and HurstやBrancato等は大いにこの事を指摘し,彼等の例を詳細に發表して注意を喚起している。すなわち前者はBRh+の夫を持つORh—の婦人か2回BRh+の新生兒を分娩し,その第1兒は異常なく,第2兒が胎兒赤芽細胞症であつた例に於て,抗Rh抗体は發見されず,抗B抗体價が抗Aに比し著しく高くなつていたものと,ARh+の夫を持っORh+ の婦人が2回分娩し,第1兒はARh+で異常なく第2兒が胎兒赤芽細胞症であつた例に於て抗A抗体價が抗Bに比し著しく高くなつていたものとの2例を經驗し,これはAB因子の免疫に依るものであると報告した。
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