原著
妊娠末期に於ける新生兒の身長及び體重を主とし之等と母體身長,妊娠子宮底の長さ並に最大腹圍との諸種の相關關係並に偏相關に就いて(その1)
明石 政雄
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.18-22
発行日 1951年1月10日
Published Date 1951/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200427
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緒言
新生兒に關する統計學的觀察は産科學上のみならず,法醫學上極めて重要な事である。而して新生兒の發育状態を判定するには,その身長及び體重が最も主たる標準となる事は云うまでもない。この身長及び體重と母體身長,妊娠子宮底の長さ,並に妊婦の最大腹圍との諸種の關係に關してはその統計學的業績も亦非常に多い。然しながら諸家に依つてはそれらの一部或は數種の關係に就いて報告しその成績も區々である。又これまでの統計學は主として數の統計學であつて例數を澤山集めて物を云わす術として賤められて來た。最近この様な多數例統計學に變つて,少數例統計學が進歩し臨床醫家によつて廣く活用されるようになつて來た。ここに於て著者はこの少數例統計學を活用し妊娠末期に於ける新生兒の身長,體重,母體身長,妊娠子宮底の長さ,妊婦の最大腹圍間に於ける相關關係に就いて追試を試み併せて新生兒の身長及び體重が諸種の要約,例えば在胎日數,男女性,分娩回數,兩親の體格,母體の榮養状態等に依つて影響される事から,母體身長を一定にしてその影響を除外した場合の諸種の關係即ち偏相關を求め,又逆に新生兒の身長,體重を一定にしてその影響を除外した場合の妊婦身長と子宮底の長さ及び最大腹圍との相關關係即ち偏相關を求め聊か見るべき結果を得たので,ここに報告する次第である。
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