原著
妊娠の一簡易鑑別診斷法について—第1回報告
山元 淸一
1
1名古屋大學醫學部産婦人科學教室
pp.261-265
発行日 1950年7月10日
Published Date 1950/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200361
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緒言
妊娠子宮に子宮卵管造影法を行つてみると非妊子宮の場合に比して種々の點に於て兩者間に相異がある.其相異は影像の上に認められるのみならず造影劑注入壓にもみることが出來る,影像にみる相異は形態的變化ばかりでなく子宮筋の機能的状態の相異に因るものである.即ち妊娠子宮に於ては其影像は,子宮筋が著しく弛緩することによつて非妊子宮像にみる如き三角形像を失い丸味を帯び左右に長い楕圓形乃至球形に近くなる.又子宮筋の弛緩は注入された造影劑を比較的永く子宮腔に止め子宮腔像は注入後48時間で尚鮮明で,120時間,140時間,188時間後に於てさえも子宮内に造影劑を認めることが出來る.この際最も注目すべき所見は,胎兒死亡の場合は別として,子宮内に注入された造影劑は子宮内に停滯し,子宮口より排泄されることが全くないことである.
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