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海外のうごき
pp.449-451
発行日 1949年11月10日
Published Date 1949/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200284
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腟塗抹物檢査のむずかしさ
Papanicolaou等のいうように腟塗抹標本の形態的檢査によつて子宮癌の早期診斷が可能なわけであるが,まだ臨床的に應用されるのは遠いようである.H.B.Davidson,E.L.Hecht,R.L.Winston (Am.J.Obst.,1949,57:370)なども健康にみえる更年期婦人378例についてこの檢査法を行つた結果同様の意見をのべている.すなわち12例(3.16%にあたる)に於て癌の所見に似たものも見ている.すなわち細胞の形が種々に變化しており,多くの場合重なつたり群がつたりしたものが見え,あるものでは細胞の大きさの割合に核が大きい.そして核はその他形が奇怪であつたり,クロマチンが豊富であつたりする.核小體はしばしば著明に見える.原形質の空胞化も著しいものがあり,細胞が延長したものも少くない.これらの變化は惡性腫瘍のときにあらわれるとされているものである.しかし組織の診査をくりかえしても陰性であつた.臨床的にも惡性の徴候を認めることが出來なかつた.このように腟塗抹標本の所見は潜伏した癌のあることを示すものであるか,或は意味のない良性の所見にすぎないのであろうか,この判定には長い間この方法による檢査になれている人でないと出來ない相談であるとしている.とにかく今後の研究によつて臨床價値をきめられねばならない問題であろう.
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