--------------------
子宮癌手術の際に外腸骨靜脈(V.iliaca externa)を損傷したる場合の處置に就て
村上 淸
1
1兵庫縣立醫科大學
pp.97-100
発行日 1949年3月10日
Published Date 1949/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200179
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
子宮癌が子宮に限局せる間は,手術が容易で安全であるが,周圍組織に浸潤し,リンパ腺に轉移を來すに至れば,手術は次第に困難にも危險にもなり,遂には手術不可能にもなる.吾々は術者として,自らの手術可能範圍を擴げるように絶えず努力をつゞけなばならぬ.
子宮癌の兩側子宮旁結合組織就中基靱帯への浸潤やリンパ腺轉移を剔除する方法は,岡林式系統的廣汎性腹式子宮癌手術に從えば困難でもなく危險でもなくなつた.この剔除方法の特別の場合につきては,三林教授からも教えられた.但し岡林先生自身でなされた眞正の岡林式系統的廣汎性腹式子宮癌手術に於ては,手術の終末に近付き骨盤腹膜縫合の直前になると,小骨盤内には直腸,膀胱・腟の残部,尿管,神經,血管,筋肉以外の清掃せられるべき結合組織やリンパ腺は悉く清掃せられて餘す所なきものであるととを附言して置き度い.吾々が岡林術式と諒解して居るのは斯くの如きものである.
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.