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母體妊娠中毒性疾患が胎兒骨に及ぼす影響の病理組織學的研究
大川 公康
1,2
1日本赤十字社産院
2日本醫科大學
pp.203-207
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200134
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緒言
母體妊娠中毒性疾患が胎兒内臟器官に及ぼす影響に關しての病理組織學的研究は大野、久慈、Hugo,Rabitscheck,Schmol,Lubausch,Die—nst,Esch,Schwarzkopf,Lobel,Schubert,Heile,Woyer等の多數の報告例あり。就中母體のホルモンの胎兒への影響、燐其の他の毒物の胎兒への影響に關しては多數の報告例あり。又母獸の食餌が仔獸の骨に及ぼす影響に關しても西田、柳井、Dibeckt,Kohrenchuskyの報告あり。然れども母體の妊娠中毒症が胎兒骨に及ぼす影響に關しては余は未だ寡聞にしてその例を知ちず。
母體血液中の物質が胎盤を通過し胎兒の子宮内生活に如何なる影響を與ふるやを解決する事は甚だ困難とする所なり。然れども母體の疾患が原因となり又は結果となりて物質代謝の失調を惹起し、胎兒の發育を阻害する事及び子宮内に胎兒の死亡を來す事によりても明かなり。特に慢性腎臟炎母體より生れたる胎兒は發育不良にして而も屡々子宮内胎兒死亡の原因ともなりたるはその原因は何處にあるか興味ある問題なり。因て余は之等中毒性疾患の胎兒臓器に及ぼす影響中特に胎兒骨に對する影響に就て研究する所ありたり。
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