原著
ペニシリンの胎兒及び羊水への移行について
齋藤 達郞
1
,
中山 博之
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.49-52
発行日 1950年2月10日
Published Date 1950/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200312
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緒論
産科的なペニシリンの使用については,從來,種々の報告がある.その適應として,腹式及び腟式帝王切開術,早期破水,鉗子分娩,胎盤用手剥離等,子宮内感染を起し易い産科處置があり,之等に對してPc (以下ペニシリンをPcと略す)を豫防的に用いて著効がある.R-Gordon Douglas,Jone F.Davis等は分娩時感染及び産褥感染にPcを使用し,Wolzは早期破水に用いて豫防効果を上げた.即ちPcを使用しない對照例の發症率21.4%に比して6.9%の發症率であつたと云う.使用方法は何れも2〜3時間間隔筋注法に依つた.
以上の所謂,産科的感染症のみならず,妊婦梅毒にPcを使用して偉効を奏することは更に重要なことと思われる,從來の砒素系統の治療劑で不治であつたものにPcを用いて良果を得ることや,副用作の少い點,治療目數の短い點等で有利である.
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