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9月,日本中が喜びにわくニュースが飛び込んできました.言うまでもなく,2020年夏季オリンピック東京大会開催決定のニュースです.福島の原子力発電所の汚染水漏れが直前に発覚し,このニュースが世界中に報道されて,もう駄目だろうと考えていましたが,まさかの決定で,日本人の1人として素直に喜んでいます.今から49年前の今日,オリンピック東京大会開会式が行われました.私は小学生でしたが,貧乏で汚かった東京の街並みがみるみる綺麗になっていき,便利になっていったことを覚えています.我が家でもその前年に漸くテレビを買い,まだ白黒でしたが,マラソンのアベベ選手の快走,東洋の魔女,女子バレーボールの金メダル,当然のように団体金メダルをとった男子体操,妖精のようにきれいだった女子体操金メダルのチェコスロバキアのチャスラフスカ選手などを,家族皆でテレビにかじりついて見ていました.開会式の日,東京の東の方にあった我が家から,西の空に自衛隊の飛行機が飛行機雲でくっきりと描いた5つの輪を眺めていたのを覚えています.時代は変わり,東京はきれいな街になって,人々も昔に比べれば裕福になっています.それなのに,幸せと感じている人は,果たして49年前より多いだろうかと考えてしまいます.49年前,人々は,これから日本を良くしていくんだ,自分たちは裕福になっていくんだと,皆,希望をもって暮らしていました.それに比べ,最近では,未来に希望をもてず,今が良ければそれでいいと思っている人が増えているように感じます.東京は間違いなくこれからの7年間で,大きく変貌していくと思います.今度のオリンピックで,長い不景気に終止符が打たれ,人々がまた希望を持って暮らせるような世の中になっていけばいいなと思っています.そして,産婦人科も,オリンピックが開かれる7年後には,医師不足とその地域偏在が解消され,過重労働やお産難民のない医療体制ができあがっていることを願っています.(2013年10月10日 記)
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