- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
最近,仕事で海外に行く機会が増えました.そこで感じるのは,お会いする外国の男性の先生は,大体,奥様を同伴しているということです.それに比べ,日本の先生で奥様を同伴している方は非常に少ないのです.この違いは,家族を重視する外国の方と,家族より仕事を重視する日本の方の考えの違いから来ているのかなと感じています.日本では,「公」である仕事と,「私」である家族を混ぜないのは当然であると考え,仕事で行っている外国出張に家族を同伴するなどよろしくないと考える方が多いのでしょう.あるいは,出張に家族を同伴すると,お金がかかるのでもったいないし,面倒くさいと思っている方が多いのかもしれません.奥様も,夫の仕事にまで付き合いたくないと考えている方が多いのだろうと思います.私も,結婚して約30年,出張に妻を同伴したことは一度もありませんでした.でも,ある時,ふと,自分は,仕事で多くの国々や国内の多くの場所を訪れ,見分を広めているのに,妻はそうした機会がほとんどない,申し訳ないと考えたのです.一昨年,東南アジアの学会に出張する際,お会いする外国の方は皆,奥様連れだから,こちらも一緒でないと具合が悪いと言って,誘ってみました.最初は,英語でお話しするのは疲れるから嫌だと言っていましたが,何とか同意してくれて,結婚して初めて,一緒に学会に参加しました.すると,意外な効果があることがわかりました.それは,夜のパーティーで,外国の先生方と親交を深め,友人になることが,とても簡単にできるようになったのです.こちらが1人では,あちらの奥様との会話も今一つ盛り上がりません.でもお互い,夫婦連れであれば,家族のことにまで話が及び,一人でいるより,ずっと親しくなれるのです.妻も外国の方と友人になれて喜んでいます.仕事上の交流も,よりスムーズに行えるようになりました.他の先生方も,外国に出張する際は,もっとご家族と一緒に行けばいいのにと思っています.
平成27年3月21日
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.