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Aisa Oceania Federation of Obstetrics and Gynaecology(AOFOG)のCouncil Meetingでミャンマーのヤンゴンを訪れました.ヤンゴンは丁度夏の終わりの季節で連日40℃に及ぶ猛暑が続いていましたが,人々は皆穏やかで,町の治安も悪くはなく,国が新しくなって,発展させていこうという活気にあふれていました.Council Meetingに合わせ,AOFOG主催で地元の若手の産婦人科医を対象としたScientific Meetingが行われました.AOFOGをリードするSpecialistたちが,産婦人科各領域の最先端医療知識や技術の講演を行い,多数の若手医師が熱心に聴講していました.ミャンマーの医療状況は良くなく,産婦人科領域では,妊産婦死亡率は日本の約30倍,周産期死亡率は約10倍です.医師も不足しており,ミャンマーの人口は約6千万人ですが,医学部も全国で4校しかなく,そのうち3校がヤンゴンにあり,毎年新しく医師になるのは600人ということでした.医療規模と医療レベルの改善は急務で,前述の講演会も,日本の学会とは異なり,臨床医学の講習会という内容でした.また,最近,International Federation of Gynecology and Obstetrics(FIGO)から緊急声明を発したいというメールが,日本産科婦人科学会に来ました.それは,スーダンの妊娠している女性医師に関するものです.イスラム教徒を父に持つ彼女はキリスト教に改宗し,南スーダンの同じくキリスト教徒の男性と結婚しました.そのため,逮捕され,むち打ち刑の上,絞首刑という判決が下されたというのです.FIGOは直ちにこの暴挙をやめるようにという声明を出したいということでした.俄かには信じられないような内容で,世界には女性の人権がこのように侵害されている場所があることを思い知らされます.私は昨年から,AOFOGの役員となり,アジア・オセアニアの仲間たちと交流するようになりました.その中で感じたことは,日本の医療がいかに優れているかということであり,またインフラの整った国で医療を行えるという非常に恵まれた環境にいるということです.日本は自らの医療レベルを向上させるだけでなく,アジアの仲間たちの医療改善と女性の健康向上に協力していかなければならないと感じています.
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