増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
IV 腫瘍
婦人科がん術後リンパ浮腫
吉田 彩子
1
,
鈴木 直
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学
pp.231-233
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103722
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疾患の概要
リンパ浮腫とは,毛細血管から漏出して生成された組織間液を排除するために機能しているリンパ管系の異常により発生する浮腫であり,がんの治療によるリンパ浮腫は全体の80%以上と圧倒的に多い.婦人科悪性腫瘍に対する手術療法では,骨盤内リンパ節郭清や傍大動脈リンパ節郭清を施行する場合が多いことから,術後下肢からのリンパ液は,下腹部や臀部皮下などにあるリンパ管などバイパスを発達させながら,腋窩リンパ節を経て静脈角へ流れていくことになる.しかし,術後1週間程度はバイパスが不十分であるため,一過性のリンパ浮腫が出現する.通常,術後一過性リンパ浮腫は消失するが,リンパ管の予備力が少ない状態の際に負荷がかかると持続するリンパ浮腫が発症する.また,リンパ節郭清後に放射線治療を併用した場合は,手術単独の場合よりもリンパ浮腫が発症しやすいと報告されている.
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