増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
IV 腫瘍
卵巣がんの術後アジュバント―漿液性腺癌/類内膜腺癌
髙田 杏奈
1
,
庄子 忠宏
1
,
杉山 徹
1
1岩手医科大学産科婦人科学教室
pp.191-193
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103710
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適応と治療方針
卵巣がんの治療は一般的に,手術療法により診断を確定し,それに基づいて術後アジュバントとしての化学療法が行われる.60%前後を占める進行がんにおいて,その予後は初回腫瘍減量術による残存腫瘍の大きさと相関する.また,化学療法の効果は組織型にも関係し,特に漿液性腺癌と類内膜腺癌では奏効するものが多い.
卵巣がんの術後アジュバントとして標準的な化学療法はタキサン製剤とプラチナ製剤の併用療法である.なかでもパクリタキセルとカルボプラチンによるTC療法はGOG111,OV-10,GOG158,AGOなど多くの臨床試験で有効性が示されている.特に漿液性腺癌および類内膜腺癌においては奏効率が70~80%と報告される.さらに,JGOG3016により3週ごとに投与する標準療法のTC療法とパクリタキセルを1週間ごとに投与するdose-dense TC(dd-TC)療法の比較試験が施行され,dd-TC療法において従来のTC療法を凌ぐ予後改善効果が示された.パクリタキセルのweekly投与は欧米ではすでに標準的な治療として用いられ,本邦でも2011年に厚生労働省で認可され,パクリタキセルの週1回投与が保険適応とされた.
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