連載 Estrogen Series
子宮摘出に伴う両側卵巣切除2題
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.724-725
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103444
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
Q1. 卵巣切除術はその後の生存期間を短縮させるか?
両側卵巣切除(BSO)と卵巣保存の場合を比較すると,どちらの場合に長期的な生存率が上昇するであろうか? この欄でも取り上げたParkerら1)は,Nurse's Health Studyに参加した30,117名のコホートを対象にこの問題を調べた.
26年間の追跡期間に,良性疾患に伴う子宮摘出時に,同時に両側卵巣摘出をした女性のうち,死亡者は16.8%,卵巣保存をした女性の死亡者は13.3%であった.卵巣切除群では卵巣癌による死亡者は低下していた.すなわち,卵巣癌死亡者は卵巣切除群では4名であるのに対し,卵巣保存群では44名であった.もともと卵巣切除の目的は主に卵巣癌の予防にあるので,これは目的を達していることになる.また,手術時の年齢が47.5歳未満では,乳癌による死亡も卵巣切除者でより低率であった.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.