臨床経験
抗リン脂質抗体症候群におけるダナパロイドナトリウムの有用性について
前田 和也
1
,
藤田 太輔
1
,
藤田 富雄
2
,
加藤 壮介
1
,
宮本 良子
1
,
鈴木 裕介
1
,
神吉 一良
1
,
湯口 裕子
1
,
伊藤 理恵
1
,
荘園 ヘキ子
1
,
山下 能毅
1
,
亀谷 英輝
1
,
大道 正英
1
1大阪医科大学産婦人科
2ふじたクリニック内科
pp.313-316
発行日 2013年3月10日
Published Date 2013/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103287
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要旨
抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome : APS)は,血栓症や習慣性流産,胎児発育不全をきたす自己免疫疾患の1つである.APS合併妊娠の胎盤病理所見では,血栓症を伴う広汎な梗塞所見が認められるため,生児を獲得させる鍵は胎盤梗塞をいかに予防するかである.現在APSの一般的な治療は,低用量アスピリン+未分画ヘパリン皮下注射である.しかしこの治療では生児を獲得できない症例が存在する.その原因として未分画ヘパリンの皮下注射では,抗血栓作用である抗Xa活性が低いために,胎盤梗塞を予防することができないことが考えられる.ダナパロイドナトリウム(danaparoid sodium : Dan)は強力な抗Xa活性があり,かつ出血傾向の少ないヘパリン類似物質である.今回われわれはAPS合併妊娠に低用量アスピリン+未分画ヘパリンにDan皮下注射を併用することにより胎盤梗塞を予防し,生児を得た3例を経験したので文献的考察を含め報告する.
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