臨床経験
Nuchal translucencyの正しい評価方法と問題点
佐野 匠
1
,
藤田 太輔
1
,
加藤 壮介
1
,
宮本 良子
1
,
鈴木 裕介
1
,
神吉 一良
1
,
湯口 裕子
1
,
荘園 ヘキ子
1
,
山下 能毅
1
,
亀谷 英輝
1
,
大道 正英
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.317-322
発行日 2013年3月10日
Published Date 2013/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103288
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要旨
Nuchal translucency(以下,NT)とは,妊娠初期の胎児超音波検査で,後頸部に観察される低エコー域のことであり,肥厚が認められる場合に染色体異常や心奇形などのリスクが上昇する.欧米ではNTが出生前診断マーカーとして扱われているが,本邦ではいまだ普及していない.当院にNTの肥厚を疑われて紹介された15例を対象として前医と当院でのNT値の比較,測定方法などを検討した.当院で測定された15症例中9例(60%)は,NT値が95th centiles以上であった.残りの6例(40%)は95th centiles以内であった.前医でThe Fetal Medicine Foundationの規定する測定法を用いて正しく測定された例は1例も認めなかった.12例に羊水染色体検査を施行し,5例に染色体異常を認めた.本邦ではNTは正しく測定・評価されていない実態が明らかとなった.出生前診断を行ううえで,NTの正しい測定と理解が必要であると考えられた.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.