症例
妊娠中の正常卵巣茎捻転の1例
伊藤 理恵
1
,
藤田 太輔
1
,
田中 健太郎
1
,
佐野 匠
1
,
神吉 一良
1
,
鈴木 裕介
1
,
渡辺 綾子
1
,
加藤 壮介
1
,
兪 史夏
1
,
荘園 ヘキ子
1
,
亀谷 英輝
1
,
大道 正英
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.177-180
発行日 2014年1月10日
Published Date 2014/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103602
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要約
子宮付属器腫瘍の茎捻転は婦人科領域において稀ではなく,特に妊娠中は妊娠初期でしばしば発症する.今回,自然妊娠成立後に妊娠31週において正常卵巣茎捻転を経験したので文献的考察を含めて報告する.
33歳,G1P1,妊娠31週2日に突然左下腹部痛が出現し,当院へ搬送された.骨盤MRIで左子宮付属器の腹側への変位を認め,鎮痛剤を使用したが下腹部痛の改善を認めず,正常卵巣茎捻転を疑い緊急試験開腹術を施行した.開腹所見では,左子宮付属器は子宮の腹側へ変位し,左卵巣の茎捻転を認めた.左卵巣は正常大で暗赤色を呈しており,左子宮付属器摘出術を施行した.術後の経過は良好で術後15日目に退院した.その後外来で経過を観察し,妊娠40週0日,経腟分娩で3,184 gの女児を娩出した.正常卵巣の茎捻転はきわめて稀であるが,妊娠中に激しい腹痛を認めた場合には正常卵巣茎捻転も想定した対応が必要であることが示唆された.
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