症例
傍卵巣囊腫との鑑別が困難であった若年者のperitoneal inclusion cystの1例
宮田 智子
1
,
大川 卓也
2
,
清水 紀香
2
,
宮田 彰
3
,
東海林 豊
2
1高砂協立病院産婦人科
2高砂協立病院外科
3西小岩クリニック内科
pp.1035-1037
発行日 2012年10月10日
Published Date 2012/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103181
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要旨
peritoneal inclusion cyst(以下PIC)は主として卵巣機能を有する女性の骨盤内手術後に発生することが知られている.偽囊胞と呼ばれることもあり,稀な疾患ではないが,詳細な発生機序はいまだに明らかになっていない.仮説的には,生理的な状態では,卵巣から分泌される液は腹膜から吸収されるが,骨盤内感染や子宮内膜症によって吸収が阻害されることによりPICが発生するものと考えられる.今回われわれは骨盤内手術の既往がなく初経後2年未満の若年者で,小腸漿膜下に発生した成人頭大のPICを経験した.術前診断は傍卵巣囊腫であったが,術中所見により診断に至った.左傍卵巣囊腫も併発しており,併せて摘出し,現在経過良好である.これまでの報告では,初経前の女児に発生例はあるものの,若年者症例はきわめて稀と思われる.そこで,若干の文献学的考察を加え報告する.
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