今月の臨床 早産─ワンランク上の予防と管理
早産の予防・診断
2.妊婦健診の要点
大槻 克文
1
,
大場 智洋
1
,
徳中 真由美
1
,
太田 創
1
,
澤田 真紀
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学病院総合周産期母子医療センター産科部門
pp.1428-1436
発行日 2011年12月10日
Published Date 2011/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102853
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わが国における早産の頻度は5%強であり,近年やや増加傾向にある.図11)ならびに図21)に示すように分娩週数が早ければ早いほど死亡率やハンディキャップを残す可能性が高くなるため,早期の早産をいかに減少させるかが課題となる.一方,切迫早産は母体搬送の理由として最も頻度の高い疾患である.われわれの施設において,2004年1月~2006年8月の間に母体搬送の依頼があった381症例を見てみると(図3),母体搬送依頼理由(疾患)の約45.1%(172例)が切迫早産で,次いで,preterm PROM 26.5%(101例),PIH 8.7%(33例)の順であった.切迫早産とpreterm PROMとを併せると,搬送依頼症例の実に7割が広い意味での切迫早産であったことになる2).
早産の原因について,当院での過去4年間の統計では,陣痛抑止不能・前期破水が6割程度を占める3).これらの状態は,炎症・感染が,腟,頸管,絨毛膜羊膜,羊水・胎児へと波及する後期の段階に至ったもので,初期段階で発見し治療することにより段階進行の予防に努めることが重要である.われわれの施設では10年ほど前より従来の「切迫早産」の定義(子宮の開大を伴う規則的子宮収縮)を満たさない段階での病態をHRPD(high risk for preterm delivery)と呼称し,症候ごとに分類した個別の管理を実施している(表1).これは病状の把握と治療方針の決定を容易にし,今後の管理の向上に結びつけるための試みであり,本稿では特に,この分類方法に準じて,早い段階での早産徴候の検出・診察・検査・治療について述べる.
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