特集 周産期における研修医・新人助産師/看護師教育の必修知識 産科編
妊娠中の管理
妊婦健診
山本 萌子
1
,
山中 美智子
1
YAMAMOTO Moeko
1
,
YAMANAKA Michiko
1
1聖路加国際病院女性総合診療部
pp.177-180
発行日 2024年2月10日
Published Date 2024/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001439
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はじめに
妊娠している母体とその胎児の状態を確認し,外来管理を行うための定期的な診察のことを妊婦健康審査(以下,妊婦健診)という。妊娠予後に影響を与えうる合併症のスクリーニングを行い,妊娠経過が正常であることを確認することが主な目的である。同時に,出産後に育児が順調に開始できるように,環境づくりにまで配慮した管理が望ましい。妊娠の各時期において,周産期の合併症の発症の予知や予防,そして安全な分娩を迎えるために必要な内容の確認ができるような診察・スクリーニング検査を進めるために,妊婦健診の内容とスケジュールは系統立てて行う必要がある。妊婦健診の時期や行う診察・検査についての望ましい基準は,母子保健法1)で定められている。わが国ではこの法に従って施行され,自治体による公費で助成されている。妊娠の診断を受けた際には,自治体に妊娠届を提出し母子手帳の交付を受ける2)。母子手帳の交付を通じて,妊婦健診の費用の助成のほかにも,産前産後のケアや育児支援など妊婦や出生した児に必要な行政支援が提供される。日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が編集・監修する産婦人科診療ガイドライン3)でも,妊婦健診の内容について示され,すべての妊婦に妊婦健診を受けることを推奨している。妊娠や出産に関する指導や,妊婦からの相談を受ける保健指導も妊婦健診に含まれる。本稿では,妊娠各時期のスケジュールとルーティンで行う検査内容をガイドラインと母子保健法に準じて解説する。
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