今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
胎内感染のリスクと対策
6.麻疹
永井 立平
1
,
林 和俊
1
1高知医療センター産科
pp.1009-1012
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102751
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麻疹はパラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症である.麻疹ウイルスの感染様式は空気感染(飛沫核感染),飛沫感染,接触感染とさまざまであり,その感染力はきわめて強い.不顕性感染はほとんどなく,感染した場合90%以上が発病する.麻疹に対する特異的な治療方法は存在せず,麻疹ウイルスの感染・発病に対する予防手段は麻疹ワクチンしか存在しない.一度罹患すると終生免疫が獲得されること,基本的にはヒトを唯一の宿主とすることから根絶可能疾患と考えられているが,わが国はワクチン接種を行っているにもかかわらず麻疹廃絶できていない数少ない先進国である.WHO分類でも麻疹制圧期(常に麻疹の流行が起こりうる状態)とされており,妊孕性のある年齢での麻疹発症のリスクは決して低いとは言えない状況下にある1~3).
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