今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
胎内感染のリスクと対策
5.水痘
永井 立平
1
,
林 和俊
1
1高知医療センター産科
pp.1004-1008
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102750
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水痘は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus : VZV)感染により発症する.初感染によって水痘を発症し,治癒とともに知覚神経に沿って三叉神経節や脊髄後根の知覚神経節に潜伏感染する.その後,宿主の細胞性免疫低下に伴い再活性化し,皮膚の神経分布領域に帯状疱疹を発症する.わが国では9歳以上の90%がVZV抗体を保有しており1),21~38歳女性のVZV抗体保有率は98.0~99.1%といわれている.臨床でわれわれが水痘罹患妊婦に遭遇する頻度は非常に少ないが,ひとたび発症し重症化すると母体水痘肺炎を合併し命にかかわる.また,罹患時期によっては児の予後へも大きく影響し,管理方針も罹患と分娩までの期間により異なるといった特殊性を有するため,産科医としては本疾患に対しての慎重な配慮と適切な対応を行う必要がある.
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