今月の臨床 卵巣がん─最新の治療戦略
再発卵巣がん治療
3.TC療法の適応と限界
有吉 和也
1
,
齋藤 俊章
1
1独立行政法人国立病院機構九州がんセンター婦人科
pp.924-930
発行日 2011年7月10日
Published Date 2011/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102730
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パクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法が初回化学療法の標準治療となった現在でも初回治療時に進行したIII~IV期の卵巣癌は高頻度に再発し,その長期予後は不良である.またI~II期であってもひとたび再発した場合には,進行卵巣癌の再発後とほぼ同様の生存曲線を示すことが報告されている1).再発卵巣癌の大部分は初回の最も有効とされる化学療法に耐性を示したがんであり,ほぼ根治することはない.したがって再発治療の目的は,延命効果を得ること,症状を緩和しQOLを改善し維持することであり,この意識を医療者,患者,家族が共有することが重要である.本稿では,最近改訂して刊行された『卵巣がん治療ガイドライン2010年度版』や国外のガイドラインを参考に,再発卵巣癌に対する一般的な考え方を述べながらTC療法の適応とその限界を概説する.
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