今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
不妊・避妊
5.乏精子・無精子症(男性不妊)
今本 敬
1
,
市川 智彦
1
1千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学
pp.494-499
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102638
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1 概 念
少子高齢化社会を迎え,不妊症治療の必要性がこれまで以上に高まっている.不妊症の原因には,妻とともに夫の要因もあり,不妊カップルで夫の異常を認めるものは約半数あり,その半数は妻の異常も伴うとされている.このように男性不妊症は不妊原因の約半数を占めるわけであるが,その過半数を占める特発性精子形成障害の病因,病態がほとんど不明であることにもより,これまでの男性不妊症の治療成績は決してよいといえるものではなかった.
このような状況の中で,近年の補助生殖技術(assisted reproductive technology : ART)の飛躍的な進歩が男性不妊症の治療に大きな変革をもたらした.例えば,前述の特発性精子形成障害症例においても精巣内精子採取術(testicular sperm extraction : TESE)により精子を少数でも採取できれば,卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection : ICSI)を用いることで受精,ひいては挙児が可能となった.
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