今月の臨床 静脈血栓塞栓症─予防・診断・治療
静脈血栓塞栓症の病態と予防ガイドライン
小林 浩
1
,
春田 祥司
1
,
川口 龍二
1
1奈良県立医科大学産婦人科
pp.105-111
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102561
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はじめに
現在,静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の予防ガイドラインおよびそのダイジェスト版が各医療機関のみならずインターネットでも容易に入手できる.2004年の4月からは静脈血栓塞栓症の予防管理料として保険点数がつけられるようになり,合併症の危険を伴う血栓症の予防法の施行においては,患者に対して十分にインフォームド・コンセントを得なければならない.静脈血栓塞栓症とくに肺血栓塞栓症の予知,ならびに発症した場合の適切な対応が不可欠である.わが国でも肺塞栓症による死亡が最近10年間で約3倍と急増しており(厚生労働省人口動態統計),決して稀な疾患ではないことを認識することが大切である.
また,予防ガイドラインを遵守し適切な予防法を行っても完全にその発症を予防することは困難であるといわれるが,それでは実地臨床医としてはどのようにして静脈血栓塞栓症の予防に対処していたらよいのであろうか.そのためには,(1)誰に予防するのか,(2)誰に予防する必要はないのか,(3)いつからいつまで予防すべきか,(4)どのような予防法を取るべきか,(5)静脈血栓塞栓症を発見するための検査は必要か,などに対する回答が必要である.
本稿では,これらの疑問を現在の予防ガイドラインを参照して解説を加える.
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