連載 症候学メモ余滴・18
医学におけるdifferentiation(分析)とintegration(総合)
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.570
発行日 1997年6月1日
Published Date 1997/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901128
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話に前置きがある。野球は投手と打者の攻防である。投手は効果的な投球を工夫する。良い成績を収めた投手がいると,周囲はその投球に注目し,科学的に分析する。フォークボールは直径7cmの球を人差指と中指の間に挟んで投げるので回転が起こらず,直球と違って球を上に引き上げるマグナス力が働かない。球速が110kmに落ちると重力のみが働いて,球が急に落下し始めるので打者が打ちにくい。それには球が投手の手元を離れるときの速度が140km以上あることが必要で,速球投手でないとフォークボールを使えない。
一方打者についていえば,バットを芯で捕えることが肝要である。これは木の芯ではない。そこに球を当てるとバットはぶれることなく,手を痛めずに強烈な打球が飛ぶ,直径が僅かに5cmの所である。この芯に球を当てるには,球が投手の手元を離れるときの瞬間視力(球種判定力)や追跡視力,さらには打者の手元で球がどこに来るかを想定する想像視力などが優れていることが,良い打者の必要条件のようである。
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