今月の臨床 ここが問題─若年女性のやせ・肥満
若年女性のやせ・肥満と周産期異常
1.若年女性のやせと低出生体重児
平松 祐司
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科,産科・婦人科学
pp.1300-1305
発行日 2010年9月10日
Published Date 2010/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102462
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はじめに
日本肥満学会肥満診断基準検討委員会(2000年)の定義では肥満度(body mass index : BMI)により体型分類されており,低体重(やせ) : <18.5,普通体重(正常) : 18.5≦BMI<25,肥満 : BMI≧25と分類されている.
肥満人口は近年急増し,成人だけでなく小児でも増加し,欧米ではepidemicな状態として捉えられている.わが国でも同様に肥満増加傾向があり,肥満は糖尿病やメタボリックシンドローム発症と密接な関係を有しているために特に注目され,その対策は世界共通の大きなテーマである.一方,わが国においては出産年齢あるいはそれより若い世代の女性のやせも大きな問題になっている.
胎児発育は非常に多くの因子により制御され大きく分けて母体環境,自然環境,社会的環境,および胎児自身の因子などがある(表1).このうち最も胎児発育に対する影響が大きいのは,母体環境である.胎児発育には母体からの栄養素の移送が直接関係し,多くの場合は糖尿病・妊娠糖尿病,妊娠高血圧症候群などの合併症の影響を強く受けるが,今回のテーマであるやせや肥満も影響する.
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