今月の臨床 ここが問題─若年女性のやせ・肥満
若年女性のやせ・肥満と生殖機能異常
1.若年女性のやせと月経異常
楢原 久司
1
1大分大学医学部産科婦人科
pp.1269-1273
発行日 2010年9月10日
Published Date 2010/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102457
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はじめに
性成熟の過程は,第二次性徴の発現,初経の初来,排卵周期の確立,第二次性徴の完成へと移行する段階的な過程である.思春期女性の身体発育の向上に伴い,初経年齢の低年齢化,性機能の早熟化がみられる一方,社会・生活環境の変化による視床下部・下垂体・卵巣系の機能異常あるいは器質的疾患により月経不順や続発無月経となり,外来を受診する若年女性も少なくない.
月経不順,続発無月経,月経困難症などの月経異常が思春期に生じた際に必要な観点は,それが心身の正常な性成熟過程の個人差によるものなのか,病的なもので治療を要するものなのかを見分けることである.これは一般に困難とはいえ,的確に個々の病態を評価できるか否かは将来の妊孕性に関連しているため,軽視できない問題である1, 2).その際,下記に述べる治療の一方で,やせを中心とした身体・精神にかかるストレスの存在を早期に見つけ,可及的に修正することは,予防─治療─予後に至るスペクトラムのなかできわめて重要である1, 2).
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