今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
II 婦人科領域における超音波診断
[その他の骨盤病変,他領域疾患との鑑別]
3.腹水および類腫瘍疾患
田中 善章
1
1萱島生野病院産婦人科
pp.480-484
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102327
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腹水
腹水は生理的腹水,低蛋白血症や肝硬変に伴う病的腹水および癌進行に伴う癌性腹水に分類される.
生理的腹水は約50~70 ml存在し1),子宮後面・直腸前面・ダグラス窩腹膜に囲まれたエコーフリースペースとして描出される(図1).非癌性腹水は無エコーで,腹腔内臓器の浮遊像1, 2)(図2)がみられる.癌性腹水では,腹水内に含まれる細胞成分や出血のために微細点状エコーがみられ,腹膜面における転移性充実部や大網転移(omental cake)(図3)を証明する.また進行例では腸管漿膜面転移のために拡張した大腸像など,イレウス所見を同時に証明することも多い.
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