今月の臨床 QOLを考慮した婦人科がん治療
【機能温存・副作用軽減】
3.婦人科がん術後の排尿・排便・性交障害
宇津木 久仁子
1
1癌研有明病院婦人科
pp.1541-1547
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102236
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はじめに
婦人科癌の手術後に起こる可能性のある後遺症のなかでも,広汎子宮全摘術後の排尿障害,リンパ節郭清術後のリンパ浮腫は,患者が最も発症を危惧する後遺症である.術後の後遺症に対し,婦人科腫瘍専門医たちは,いかにその出現を減少させることができるかと,日々手術法の工夫を行っている.筆者がしばしば気になるのは,患者のQOLにかかわるこれらの後遺症の出現頻度は,実は医師はよくわかっていない,あるいはそのような統計が少ないということである.外見上,再発もなく健康を取り戻したかのような患者が,実は尿の失禁や便の失禁をすることがあるということすら,本人の訴えがない限りわからないのである.
本稿では,特に本人しか知らない後遺症,つまり排尿・排便・性交障害に関する術後の後遺症について,2001年に行った調査結果を中心に述べる.
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