今月の臨床 QOLを考慮した婦人科がん治療
【機能温存・副作用軽減】
4.婦人科がん術後のイレウス
上垣 憲雅
1
,
板持 広明
1
,
紀川 純三
2
1鳥取大学医学部産科婦人科
2鳥取大学医学部附属病院がんセンター
pp.1549-1551
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102237
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はじめに
近年の化学療法や放射線療法の進歩はめざましいものの,婦人科がん治療の基本は手術である.卵巣癌,子宮体癌,および子宮頸癌治療ガイドラインでは,手術療法が基本的な治療法となっている1~3).卵巣癌や子宮体癌では,傍大動脈リンパ節の郭清が標準術式となり,子宮頸癌においても頸部腺癌の増加に伴い,進行症例に対する手術も試みられるようになった.
一方,周術期合併症は入院期間の延長による診療費の高騰に直結し,欧米では重要な課題と捉えられているのに対し,保険診療を前提とするわが国では関心が低い現状にあった.しかしながら,術後のQOL向上やDPC導入による医療経済からも周術期合併症の予防ならびに管理は重要となってきた.婦人科医にとって,外科的手技の習得とともに,周術期の管理は必須となる.なかでも,術後イレウスは比較的高頻度に発生し,ときに重篤な結果を招く.本稿では,婦人科がん術後のイレウスについて概説する.
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