今月の臨床 生殖医療のトピックス
卵巣組織凍結保存・自家移植の現状
鈴木 直
1
,
高江 正道
1
,
五十嵐 豪
1
,
杉下 陽堂
1
,
奥津 由記
1
,
石塚 文平
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.1373-1377
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102210
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はじめに
近年,がん患者に対する手術療法,化学療法や放射線療法を中心とした集学的治療法の進歩に伴ってその治療成績はめざましく向上してきており,米国のNational Cancer Institute(NCI)のデータでも若年がん患者の5年生存率は69%(1975~1984年)から77%(1985~1995年)へと改善している1).若年女性がん患者における抗がん剤による治療後の卵巣機能維持は,妊孕性温存という観点のみならず女性としてのQOL保持に欠かせないものとなる.近年,化学療法施行前に卵巣組織を体外に摘出し凍結保存する試みが欧州を中心に臨床応用されており,若年女性血液腫瘍患者の卵巣組織を凍結後自家移植し生児を得たとする報告が続いている.本稿では,卵巣組織凍結保存・自家移植の現状について解説する.
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