特集 術後1週間の患者管理
Ⅳ.術後合併症の予防と対策
深部静脈血栓症・肺塞栓症
松本 賢治
1
,
白杉 望
1
,
納賀 克彦
1
1川崎市立川崎病院外科
pp.398-399
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902109
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頻度と成因
術後の深部静脈血栓症(deep vein thrombo-sis:DVT)は,DVTの誘因として約23%を占め最も頻度が高い1).成因として,(1)血管壁の変化,(2)血液性状の変化,(3)血流の変化(Virchow’s triad)が知られている.DVTはそれ自体生命予後は良好であるが,肺塞栓症(pulmonary embo-lism:PE)の成因となるため重視される.術後のPE発生率は約2%だが,早期発見を誤ると致命的となる.PEの成因は80%以上がDVTによるが,そのほかは悪性腫瘍(特に膵癌)や膠原病などに伴う血液凝固能異常に由来する.
なお,下肢のDVTは腸骨静脈圧迫症候群のため左側に発生しやすいが1),逆にPEは中枢で圧迫を受けない右側のDVTに起因する例が多い.
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