今月の臨床 胎児の診断と治療―最近のトピックス
【治療の最前線】
2.TTTSレーザー治療―その現状と将来
村越 毅
1
1聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター周産期科
pp.945-953
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102137
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はじめに
胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(fetoscopic laser photocoagulation for communicating vessels : FLP)の普及とともに双胎間輸血症候群(twin─twin transfusion syndrome : TTTS)の疾患概念および治療方法・予後などはここ10年で劇的に変化した.1990年のDeLiaの報告1)を皮切りにTTTSに対してFLPが開始され,欧米を中心に1990年代にTTTSの病態・定義・治療方法が盛んに議論された2~8).本邦では1992年の第一例9)および術中母体死亡症例10)の後しばらくFLPは施行されていなかった.その後,欧米での胎児治療センターにてFLPの手技を研鑽してきたメンバー(Japan Fetoscopy Group : JFG)を中心に本邦でも2002年から本格的に開始された11, 12).
FLPの臨床応用の開始とともに今まで救命困難であった重症TTTS症例に対してもFLPが有効な治療として受け入れられており,本邦でも2008年12月現在で350症例以上にFLPが施行されている.症例が積み重なることにより母体への合併症や胎児への手技に伴う可能性がある合併症なども知られるようになってきた.本稿では,TTTSに対する最新の知見およびFLPの現状と将来展望について解説する.
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