今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
I 不妊の検査・診断 B卵管因子
【子宮卵管造影剤】
16.子宮卵管造影検査で卵管閉塞と診断した場合の注意点について教えてください.また使用する造影剤には水性と油性がありますがそれぞれの特徴についてわかりやすく教えてください.
右島 富士男
1
,
森本 義晴
1
1IVFなんばクリニック
pp.369-373
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102005
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[1]卵管造影検査の重要性
女性因子の不妊原因のなかで最も多いとされているのが卵管因子による不妊で不妊原因の約20~30%とされている.子宮側からは精子の遡上経路として,卵管采側からは排卵された卵子をpick upし,受精とそれに続く初期胚の成長に必要な卵管液の分泌や受精と発育の場を提供している.
補助生殖技術(assited reproductive technology:ART)の発達は不妊症に悩む患者に多大なる恩恵を与え一定の成功を修めているといえる.しかしもとをたどればARTは本来ならば卵管腔内で行われる機能を肩代わりしたものである.
現在の医学においてもこの卵管の機能をすべて評価することは不可能であるが,画像診断学的には評価が可能で画像診断学的所見と臨床的データを判断することによって,的確な情報を提供できるものと考えられる.現在のところ卵管の画像診断学的データを最も詳しく提供してくれる検査法は子宮卵管造影法(hysterosalpingography:HSG)であり,その重要性はARTの進歩した今でも変わりはない.
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