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症 例
患 者 : 48歳,会社員.3経妊・2経産,身長156 cm
主 訴 : 大量の性器出血
既往歴 : 特記すべきことなし.
現病歴 : 2007年11月下旬,当科にてトリコモナス腟炎の治療を受けた.子宮頸部細胞診はクラスII,超音波検査にて直径2 cmの筋腫結節が認められた(図1).2007年12月中旬,不正出血にて来院,内膜細胞診はクラスIIであった.2008年1月中旬,出張中に大量の性器出血があり救急病院を受診,腟鏡診で凝血塊を含む流血があり,内診で子宮は鵞卵大,内子宮口付近に弾性軟な腫瘤を触知し,経腟超音波にて同部に直径3 cmの腫瘤を認めた.造影CTにて子宮内腔は拡張しており,内診,超音波で認めた腫瘤内部には造影効果を認めず,腫瘤は凝血塊である可能性も否定できないとのことであった(図2).機能性出血であるのか,腫瘤からの出血であるのか判断困難であり,出張中であるので止血目的にてプレマリンの処方,鉄剤の投与を受けた.この時点でHb 7.8 g/dlと著明な貧血を認めた.
救急病院を受診した翌日に当科外来を受診した.超音波検査にて子宮下部に直径4.1 cmの筋腫様腫瘤が認められ,子宮内膜はさほどの肥厚はなく,子宮腟部は腫大しており,子宮筋腫疑いとした(図3).取り敢えずドオルトンと鉄剤を投与し,貧血が改善すれば頸管拡張して筋腫を確認する予定とした.2008年1月下旬,再び多量の出血があり外来受診,内診にて筋腫分娩の状態となってきており,筋腫の表面からも出血があり止血剤の粉を噴霧,ガーゼで圧迫し近々経腟的に筋腫摘出予定とした.その5日後,静麻下で筋腫摘出を試みた.この時点でHbは7.1 g/dl,出血はごく少量であった.摘出時,筋腫は軟らかく変性様で,一塊として取れず,胎盤鉗子にて分割切除後に頸管内を掻爬し,頸管内にヨードホルムガーゼを充填した.以後,経過をみたが出血が収まらず,同日MAP4単位を輸血,緊急子宮全摘を行った.摘出子宮の割面をみると子宮頸部に筋腫が残存しており,子宮内膜からの出血はみられなかった(図4).
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