今月の臨床 卵巣癌診療の最新情報
【卵巣癌治療の将来展望】
2.卵巣癌における血管新生抑制療法
馬淵 誠士
1
,
森重 健一郎
1
,
木村 正
1
1大阪大学大学院医学系研究科・産科学婦人科学教室
pp.1339-1345
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101882
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はじめに
プラチナ製剤とタキサン製剤の併用が標準的化学療法となり,上皮性卵巣癌の予後が改善されたが1),長期予後はなお不良であり,満足のいくものではない.最近,プラチナ・タキサンに交叉耐性を示さない抗癌剤を第三の抗癌剤として前述の標準化学療法に追加しても予後が改善されないとの報告がなされた2).この報告は,殺細胞性抗癌剤の併用療法の限界を示唆するものであり,結果的に卵巣癌における分子標的治療の重要性が認識され,その臨床応用への期待がいっそう高まることとなった.
本稿では,血管新生をターゲットとした分子標的治療について概説するとともに,卵巣癌における抗血管新生治療の現状と問題点ついて解説する.
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